ガンムシさん(25才・東京都)

あれは2011年頃。

あの日はいつも通りの日常のはずでした。
大学に行き、夜からの予定まで時間があったので夕方に一度帰りました。
家に帰ったら体調が悪くなり、時間があったので休もうと思いベッドで少し寝ていました。
ふと目が覚めると、部屋の中に自分以外の誰かがいる感じがしました。
兄と二人で暮らしていたので、初めは兄が帰宅したのかと思ったのですが、それにしては違和感があり、静かすぎる気がしておかしいとわかりました。
まさか不審者か！と思い、一先ず大人しくして様子を見ながらやり過ごすことにしました。

そんなことを考えていたら、急に部屋の違和感がなくなり、おかしいなと思い、起き上がろうと寝ている自分のベッドに目線を向けた瞬間、急にグレイが顔を出してきたのです。

少し白っぽい灰色をしたグレイで、目が大きく、ゴムのような作り物っぽい質感でした。
目があった瞬間に思ったのは、コイツはグレイだ！
本当に作り物っぽくて気持ち悪いな！でした。
手を伸ばせば触れそうな距離にいたグレイに対して、怖いというよりも、作り物めいた質感や生気を感じない機械っぽさに驚きました。
至近距離で目があったままの状態で、お互いをじっと観察していたように思います。

記憶はそこで途切れています。

次に気が付いたとき、時計の針がおよそ一時間ほど進んでいたのを見て、さっきのは現実だったのだろうかと疑いましたが、自分が感じた違和感は消えていなかったので、現実であったのだと思います。

グレイに遭遇したあとの数日間は体調も悪かったです。特に遭遇した日は救急車を呼びたくなるほどお腹が痛くなり、全く眠れませんでした。

今はもうなんともないですし、あれ以来グレイにはっきりと遭遇したことはないです。
そして、グレイを間近で見たことの驚きは未だに忘れることができません。
もし今度遭遇することがあれば、直接触って感触を確認したいと思います。