私が小学校四年生の頃体験した出来事です。夜の7時くらいだったと思います。母が買い物に出て行ったので、妹と2人で留守番をしていました。晩御飯を食べ終えて、リビングで妹とくつろぎながらテレビを見ていました。テレビ側の壁には、ベランダに出れる大きなガラス窓があるのですが、なんとなく窓の外から違和感を感じました。ふと、外を見るとレースカーテン越しに外の景色が真っ赤染まっていました。
今から20年前の、阪神淡路大震災の1年前。場所は兵庫県尼崎市と宝塚市を結ぶ、尼宝線と言われる国道沿いの、マンション工事現場でのこと。僕はマンションの型枠工事に、職人たちを10名ほど連れて携わっていました。ある時、クレーンで材料を吊り上げ、リモコンで操作中のうちの職人が、吊り荷の旋回を中断し、真上の空をじっと見ています。僕が、危ないから早く降ろすように言うと、親方、ちょっと来て欲しい、と。職人の側まで行って、真上の空を見上げました。雲ひとつない真っ青な日本晴れだったのを、はっきり覚えています。